イノベーションに関するDosiの著作および解説論文

DosiがSussex大学に提出した博士論文
 
 
 
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InventionとInnovationの区別と連関

Donald G. Marquis – Innovationは、新しいアイデアの思いつき、新しい機械装置のInvention(発明)、新市場の形成・発展など関連するサブプロセスのトータルプロセスである
Marquis, Donald G.(1969) “The Anatomy of Successful Innovations,” Innovation, Vol.1, No. 7 (November 1969).
“innovation is not really a single action, but a total process of related subprocesses. It is not just the conception of a new idea, nor the invention of a new device, nor the development of a new market. The process is all of these things acting in an integrated way toward a common objective― which is technological change [pp.28-37].
 
James M. Utterback - Inventionの後に、経済的意義をもたらす企業家的行為(entreprenurial action)が必要。Innovationは、新製品の場合であれば市場参入を可能にするInventionであり、生産プロセスの場合であれば最初の利用(first use)がなされたInventonである。
Schmookler(1966)やMarquis(1969)によれば、Inventionは、「need(あるいはwant)についての情報」と「そうしたneed(あるいはwant)を充足する技術的手段についての情報」の統合から生み出される独創的な解決(original solution)である。Inventionの後に、経済的観点から有意義なものとする企業家的行為(entreprenurial action)が必要となる。

The definition of innovation, as distinct from invention, will follow the suggestions of Schmookler [23] and Marquis [15, pp. 26-33]. According to this definition, an invention is an original solution resulting from the synthesis of information about a need or want and information about the technical means with which the need or want may be met. An invention must be followed by entreprenurial action before it has significance in economic terms. Thus, innovation will be defined to refer to an invention which has reached market introduction in the case of a new product, or first use in a production process, in the case of a process innovation. The key idea here, first use, does not preclude consideration of adopted ideas which are new in a particular market or application, nor does it provide a measure of the economic significance of an innovation. It simply requires that an idea has been carried far enough to begin to have an economic impact.
Marquis, Donald G.(1969) “A Project Team Plus PERT Equals Success. Or Does It?” Innovation, Vol.1, No.3 (July 1969).
Schmookler, Jacob (1966) Invention and Economic Growth, Harvard University Press, .

 
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技術革新の意義

Utterback ー 国際貿易、産業構造、新企業や新産業の形成・発展、既存企業・既存産業の成長・生き残り
“Technological innovation has had an impact on international trade, industry structure, formation and development of new firms and industries, and the growth and the survival of existing firms and industries.”
 
Porter-技術変革は「既存有力企業の競争優位を陳腐化させる」要因、「企業成長を可能にさせる要因」
Porter, Michael E. (1985). Competitive Advantage: Creating and Sustaining Superior
Performance, Free Press,pp.164-[ポーター, M.E. (土岐坤訳,1985)『競争優位の戦略』ダイヤモンド社,p.207
「技術の変革(Technological change)は、競争の主要な推進要因の一つである。技術の変革は、新しい諸産業の創出(creating new industries)においても産業構造の変革(industry structural change)においても主要な役割を演じている。技術の変革は、十分に確立された企業の競争優位(competitive advantage)を陳腐化させ、他の企業を上位に押し上げる偉大な平衡装置でもある。現在の大企業の多くは、生かすことができた技術の変革を利用して成長した。競争のルールを変えることができるすべての要因の内で技術の変革は最も卓越した要因の一つである。」
 
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イノベーションに関するUtterbackの著作および解説論文

Utterbakの本
 
Utterbakの論文
  1. 本論文においてUtterbackは、技術的イノベーション(technical innovation)のプロセスを下図(p.78)のように、Idea Generation Subprocess、Problem-Solving Subprocess、Implementation and Diffusion Subprocessに3分割して論じている。
    そしてアイデア生成サブ・プロセス(Idea Generation Subprocess)は、「ニーズに関する認識」(Recognition of a need)、「そうしたニーズを充足させる技術的手段に関する認識」(Recognition of a technical means to meet the need)、「開発のためのアイデアや提案を生み出すための、こうした情報の統合」(Synthesis of this information to create an idea or proposal for development)からなるとしている。
    技術革新(technical innovation)のプロセスに関するUtterbackの図
    Utterbackは、こうしたアイデア生成サブ・プロセスが、既存の技術的知識(Current State of Technical Knowledg)から出発するとしているが、技術的要因としては既存の技術的知識とともに、既存の技術的手段(道具、機械、装置、システムなど)も挙げるべきであろう。
     
  2. Utterback, James M.(1971b) “The Process of Innovation: A Study of the Origination and Development of Ideas for New Scientific Instruments,” IEEE Transactions on Engineering Management, Vol. EM-18, No. 4, November 1971, pp. 124-131.
    Utterback(1971a)とサブタイトルは異なるが、メインタイトルが同じであり、Innovationのプロセスに関しては本論文でも下図のように、Idea Generation Subprocess、Problem-Solving Subprocess、Implementation and Diffusion Subprocessに3分割して論じている。
    技術革新(technical innovation)のプロセスに関するUtterbackの図

    なお本論文では、Baker et al(1967)の論文における「「needに関する知識」が先行し「needを充足する手段に関する知識」が後に続く形で生み出されたアイデアが75%、「手段に関する知識」が先行し「needに関する知識」が後に続く形で生み出されたアイデアが25%であるという調査データを紹介している。(Baker et al reported that 75 percent (212) of the ideas studied were stimulated by knowledge of a need, termed a “need event,” followed by knowledge of a means, called a “means event” for meeting the need. Twenty-five percent (60) ideas were stimulated by knowledge of a means followed by knowledge of a need met by the means .
    )
    Baker, N. R. Siegman,J. and Rubenstein, A. H. (1967) “The effects of perceived needs and means of the generation of ideas for industrial research and development projects,” IEEE Trans. Eng. Manag., vol. EM-Î4, Dec. 1967, pp. 156 -16

     
  3.  
 
Utterbakの略歴・業績一覧
 
 
Utterbakの論文解説
 
  1. Abernathy, W. J., & Utterback, J. M. (1978). “Patterns of industrial innovation,” Technology Review, 80(7), 40–47に関する解説
 
Utterbakのdominant design論を含むエッセイレビュー
 
    1. https://www.springer.com/cda/content/document/cda_downloaddocument/9783319068282-c2.pdf

     
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「技術革新」および「イノベーション」という語の用法の歴史的変遷

「イノベーション」=「技術革新」とする最初の用語法
世界景気の堅実な力強い発展の陰に潜む基礎的な動因は、大衆購買力の増加による耐久消費財の売れ行き増加と技術革新のための新投資の増大であろう。/このような大衆所得の増大は、生産性の上昇によって裏付けされており、極端なインフレや国際収支の悪化を伴うことなく、国内市場との均衡的発展を可能にした。前に我が国国内市場の発展の理想型として述べた高能率、高賃金、高生活水準の方式は、既に欧米経済の繁栄の基礎的条件になっているのである。/しかし労働生産性を上げるということは単に勤労者が勤労意欲を振いおこすということではない。近代工業における生産性の上昇には設備の近代化、技術投資が先行しなければならない。そして年々巨額な投資を推進しているものは、技術の絶えざる進歩とそれを媒介にした企業の競争である。技術が絶えず進歩しているときに、生産設備を物理的に使用に耐えるまで耐久年限いっぱいに使っているようなことでは、競争会社に圧倒されてしまう。耐久年限の短縮と取り替え需要は投資財市場を拡大する。1956年の米国の産業設備投資は対前年2~3割の増加が予想されているが、その半ばまでは近代化の投資である。長期にわたる近代化投資を予想されている業種のなかに、目先き売れ行き不振で滞貨に悩む自動車産業が含まれていることは、近代化投資需要が目前の好不況の波を超越した強い力をもっていることを示すであろう。力をもっていることを示すであろう。/このような投資活動の原動力となる技術の進歩とは原子力の平和的利用とオートメイションによって代表される技術革新(イノベーション)である。技術の革新によって景気の長期的上昇の趨勢がもたらされるということは。すでに歴史的な先例がある。その第一回は、蒸気機関の発明による第1次産業革命後の情勢であって、1788年から1815年まで長期的に世界景気の上昇が続いた。第二回目は、鉄道の普及によって1843年から1873年まで、第三回目は、電気、化学、自動車、航空機等の出現に伴って1897年から1920年まで、革新ブームが現出した。そして現代の世界を原子力とオートメイションによって代表される第4回の革新ブームの時期とみることもできるであろう。」経済企画庁編(1956)『昭和31年度経済白書:日本経済の成長と近代化』至誠堂の第1部 第3章 第3節「技術革新と世界景気」
目次:http://www5.cao.go.jp/keizai3/keizaiwp/wp-je56/wp-je56-0000i1.html
第1部 第3章 第3節「技術革新と世界景気」:http://www5.cao.go.jp/keizai3/keizaiwp/wp-je56/wp-je56-010303.html
https://www.komazawa-u.ac.jp/~kobamasa/lecture/japaneco/innovat/ecwhpp_inv.htm
 
「技術革新」という語の用法の歴史的変遷
 
「イノベーション」という語の用法の歴史的変遷
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Rogers, E. M.のイノベーションの普及プロセスに関する類型論

社会学者E.M.Rogersは、製品購入者を下記の5つに類型化して、イノベーションの普及プロセスを説明している。すなわち、Rogersは、イノベーションによって新しく登場した製品の購入者をイノベーションの「採用者」(Adopter)として捉え、「理念型としてのイノベーションの採用者カテゴリー」 (Adopter Categories as Ideal Types)を下記のように類型化している(Rogers,1983,pp.247-251)。
 
1. Innovators(イノベーター)
2. Early Adopters(初期採用者)
3. Early Majority(前期多数採用者)
4. Late Majority(後期多数採用者)
5. Laggards(採用遅滞者)
 
Rogersの議論の知的面白さは、こうした5つの類型化を正規分布と結びつけたことにある。Rogersの議論を、単純化して言えば、製品購入者の製品購入時期(イノベーション受容能力を偏差値化した上で、偏差値に基づいて5類型化しているのである。すなわちRogersは、下記のように、sd(標準偏差,standard deviation,σという記号を用いる場合が多い)を用いて5区分している。
下記グラフの横軸は、イノベーションの採用時期を表し、採用時期が早ければ早いほどイノベーション度(innovativeness)が高いとされている。
そのため日本の通常の偏差値グラフとは異なり、イノベーション度(innovativeness)に関わる偏差値が高いほど左側に来ることになる。sdはstandard deviation(標準偏差)である。
 平均から標準偏差の2倍以上ずれた集団、すなわち、偏差値70以上の集団がInnovators(イノベーター)である。
 以下、イノベーション度の偏差値60以上の集団がEarly Adopters(初期採用者)、イノベーション度の偏差値50~60の集団がEarly Majority(前期多数採用者)、イノベーション度の偏差値40~50の集団がLate Majority(後期多数採用者)、イノベーション度の偏差値40以下の集団がLaggards(採用遅滞者)である。
 
 
[図の出典]Rogers(1983) p.247。ただし読みやすくするため、文字部分等は打ち直した。
 
上記グラフの日本語表記としては下記が参考になる。

Rogersのイノベーション普及モデルにおける「イノベーションの採用時期が正規分布する」という仮説は、下記の日本における家庭用VTR製品の社会的普及や、レンタルビデオ店舗数の推移グラフなどと一致している。

日本における家庭用VTRの普及とRogersの普及曲線の比較
[出典]井庭崇ほか(2001) p.77の図4、家庭用VTRの普及率のデータの出典は
経済企画庁の「消費動向調査」1982-1996]
日本におけるレンタルビデオ店舗数の推移とRogersの普及曲線の比較
井庭崇ほか(2001) p.78の図5
[店舗数の推移データの出典は電通総研(1996)『情報メディア白書1996』]
 
[関連データ]
 
E.M.Rogersの主著
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イノベーションに関するリニア・モデル — TRL定義

DODやNASAのTechnology Readiness Level Definitions(以下、TRLと略記)は、イノベーションに関するリニア・モデル的発想に基づくものと思われる。
 
NASAのTRLの定義は下記の通りである。
TRL-1 Basic principles observed and reported.
TRL-2 Technology concept and/or application formulated.
TRL-3 Analytical and experimental critical function and/or characteristic proof of concept.
TRL-4 Component and/or breadboard validation in laboratory environment.
TRL-5 Component and/or breadboard validation in relevant environment.
TRL-6 System/sub-system model or prototype demonstration in an operational environment.
TRL-7 System prototype demonstration in an operational environment.
TRL-8 Actual system completed and “flight qualified” through test and demonstration.
TRL-9 Actual system flight proven through successful mission operations.
そしてそれぞれの定義に対応するHardware Descriptionは、下記のように規定されている。
TRL-1 Scientific knowledge generated underpinning hardware technology concepts/applications.
TRL-2 Invention begins, practical application is identified but is speculative, no experimental proof or detailed analysis is available to support the conjecture.
TRL-3 Analytical studies place the technology in an appropriate context and laboratory demonstrations, modeling and simulation validate analytical prediction.
TRL-4 A low fidelity system/component breadboard is built and operated to demonstrate basic functionality and critical test environments, and associated performance predictions are defined relative to the final operating environment.
TRL-5 A medium fidelity system/component brassboard is built and operated to demonstrate overall performance in a simulated operational environment with realistic support elements that demonstrates overall performance in critical areas. Performance predictions are made for subsequent development phases.
TRL-6 A high fidelity system/component prototype that adequately addresses all critical scaling issues is built and operated in a relevant environment to demonstrate operations under critical environmental conditions.
TRL-7 A high fidelity engineering unit that adequately addresses all critical scaling issues is built and operated in a relevant environment to demonstrate performance in the actual operational environment and platform (ground, airborne, or space).
TRL-8 The final product in its final configuration is successfully demonstrated through test and analysis for its intended operational environment and platform (ground, airborne, or space).
TRL-9 The final product is successfully operated in an actual mission.
TRL-1 科学的知識 →TRL-2 発明→ TRL-3 分析研究→ TRL-4 試作(breadboard) → TRL-5 brassboard → TRL-6 プロトタイプ → TRL-7 A high fidelity engineering unit → TRL-8およびTRL-9 製品(The final product)という順序的プロセスとして規定していることは、イノベーションにおけるリニア・モデルとした管理である。
米政府のR&D定義とDODのR&D定義の比較
 
NASAのTRL定義
NASA(2012) “Technology Readiness Level” Oct. 29, 2012
NASA “Technology Readiness Level Definitions”
 
米国防総省(DOD)のTRL定義
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RANDのイノベーション関連資料

Donna Fossum, Lawrence S. Painter, Valerie L. Williams, Allison Yezril, Elaine M. Newtonによる共著、700ページ。
上記URLより各章をダウンロードできる。
 
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科学・技術の社会性 vs 科学活動・技術活動の社会性

科学的認識の「社会」性は、「科学的認識の本質的要素・本来的なモノであり、取り除き不可能なものであるのか?」、それとも「科学的認識の非本質的要素・偶有的なモノであり、取り除くべきものであるのか?」
 
普遍性を持つ認識としての科学的認識
日本でも、アメリカでも、ロシアでも、中国でも同一の内容を持つべきも
のとしての、科学的認識、社会主義国でも、資本主義国でも同一の内容を持つべきものとしての、科学的認識)
 
対象認識としての科学的認識(対象との一致・不一致が観測用具・実験装置によって検証されるものとしての、科学的認識

 

テクノサイエンス

科学 ⇔ 先端技術

     商用技術 ⇔ 社会、

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科学的研究の「基礎研究」的性格に関する歴史的主張

原子力に関わる「基礎研究的性格」論
オニール,ジョン・ジェー(鈴木訳,1940)「社会生活に革命を起こす原子動力の発見」『アメリカ』(新世界朝日新聞東京支社),1(3), 1940年8月号, pp.36-39
本記事は、原子力に関する科学的発見が社会生活に大変革をもたらすというようにその革命的意義を強調するとともに、科学者による基礎的研究の次の段階が技術者による実用化である、としている。

世紀の科学の凱歌がアメリカ科学によって挙げられた。19世紀のキュリー夫妻のラジユーム発見にも比すべき大発見が科学者の一群によって成遂げられたのである。いやラヂユームの発見よりも更に大きな影響が予想される。社会生活に大革命を招来するだろうことが期待されるのだ。・・・新しい、奇異な物質が分離し、空想にも及ばなかったような大きな力を放射することが、アメリカの実験室から発表された。それはラヂユームと同じ鉱石の中に隠されていたウラニウム235である。しかもラヂユームに比して数億倍も多量に含まれ、数百億倍の力を放射するという麒麟児だ。この新しく分離された原子はその爆発力によって石炭の燃焼によって得られる力に比し、実に500万倍の強力なものである。しかもこれは全原子動力放射の第一歩であって、全原子動力は如何なる化学燃焼の方法によるものよりも180億倍も強いのだ。/アメリカの科学は、この強大な力の存在を理論的にも、実験的にも証明した。そして次の研究段階は技術家がこの原子動力を実用的なものとすることで、その方法はこの原子を含む原料を分解する実用的方法を発見することに懸つている。これが為には、一方には実験的規模と、他方には大量生産規模とが併行して研究が進められねばならない。そしてそれが成就する日こそ、現代文化革命の日であり、人類の社会生活に大変革が起こるのである。その基礎的研究は、既に最近アメリカ科学が完成したのである。」p.36

 
科学(1943)「戦時下に於ける科学の進展について」『科学』岩波書店,1943年11月号,p.1
無署名の本巻頭言は、戦時下において直接的には役立たない科学研究をおこなうことの意義について次のように主張している。

「かやうな場合に於ても我々科学者としては,そこに多少の余裕の存する限りは,科学上の根本的な研究を推し進めることを忘れてはならないのであり,かやうな研究の進展を切望しないわけにゆかないのである。なぜと云へば,それが意外な点に於てまた戦力増強に貢献しないとも限らないからである。すなはち自然はいかにも巧妙につくられてゐるのであって,どんな所に異常な現象を呈するかを我々は予め想描することが不可能なのであり,そこに予想外な新発見が結果しないとは限らないからである。・・・周知の如く科学上の研究はいつも我々の予想外の発見を持ち来すといふことは従来のあらゆる経験が之を実証してゐるのであり,この意味に於て多少でも余裕の存する限り,科学者はやはりその根本的な研究を推し進めることに努力しなければならないのであらう。」
そして科学者によるそうした予想外の新発見の例として原子核分裂を挙げるとともに、それがエネルギー論的意味を持つことを強調している。
「具体的な一例をここに記して見るならば,先年ドイツのハーン及びシュトラースマンによってウラン原子及びトリウム原子を中性子で爆撃することにより原子核の分裂が発見せられたことなど重要な事実である。・・・しかもこの分裂に伴って巨大なエネルギーが放出せられることも明らかになったのである。」

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